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四国遍路のあゆみ(平成12年度)

(1)遍路の実態とその心情⑤

 (サ)遍路の服装

 遍路を迎える札所の一部からは、服装を整えて巡拝してほしいとの要望があるが、実際には39%の遍路が普段着で巡拝している。残りの約6割の人は何らかの装束を整えて巡拝していることがうかがえる。

 (シ)接待

 四国霊場を巡拝する人たちに対して、昔から、「お接待」という風習があり、巡拝者にちり紙や食べ物などを無料で配る習慣がある。現代の遍路がどの程度、お接待を受けているのだろうか。
 回答者501名のうちで、接待を「受けた」が50%、「受けなかった」が43%とほぼ同じ比率であるが、徒歩遍路だけに関しては、接待を「受けた」が93%と、ほとんどの人が接待を経験している。これは、遍路を迎える地域の人々の間に、「お接待」という風習がまだ残っていることを裏づけている。また、車遍路が「お接待」を受ける比率が低いのは、遍路道を高速で通過する車遍路に、沿線住民が「お接待」をするチャンスがほとんどない(⑬)ことを想定させる。それでも、車遍路も約4割という高い率で接待を受けている。このことから札所やその周辺で、「お接待」が行われていることがうかがえる。
 具体的な接待の内容は、食べ物・飲み物が最も多く50%、食べ物以外の品物が16%、お金が13%、金品以外の手助けが10%の順になっている。
 「早大道研」の調査結果では、「食べ物・飲み物」58%、「食品以外の物品」20%が、やはり多くなっている。これは、接待内容として物品を提供することが、物品以外の接待と比べて、一般的ないし慣例的になっている傾向があるということも背景としてあろう(⑭)。

 (ス)徒歩遍路で困ったこと

 徒歩遍路の回答者196名のうち、「道しるべが少なくて困った」と「車の往来が多く、歩道が狭くて危険」がそれぞれ24%ずつを占めており、遍路道を歩きながら苦労をしている様子がうかがえる。また、「トイレや休憩所が少ない」が14%と3番目を占めており、今後、徒歩遍路が増えれば、沿道のトイレ開設はより大きな問題になりそうである。

 (セ)車遍路の道中で困ったこと

 図表2-2-42によると、「道路標識が少ない」38%、「道幅が狭い」19%、「いろいろなルートがあり困った」12%、「札所の駐車場が少なくて不便」10%の順になっている。「早大道研」の調査結果では、徒歩遍路と車遍路を区別していないが、「道路標識が少ない」19%、「道幅が狭い」17%、「道しるべがない」13%となっている。
 徒歩遍路にも乗物遍路にも道路標識は重要である。道を間違えると、後で大きな軌道修正が必要となるからである(⑮)。

図表2-2-38 遍路の服装

図表2-2-38 遍路の服装


図表2-2-39 接待経験

図表2-2-39 接待経験


図表2-2-40 接待内容

図表2-2-40 接待内容


図表2-2-41 徒歩遍路で困ったこと

図表2-2-41 徒歩遍路で困ったこと


図表2-2-42 車遍路の道中で困ったこと

図表2-2-42 車遍路の道中で困ったこと