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四国遍路のあゆみ(平成12年度)

第1節 四国遍路の行者たち

 四国遍路は四国の辺地を修行する行者たちの流れから、やがて八十八ヶ所を経巡(へめぐ)る庶民参加の遍路へと盛行の道をたどった。近藤喜博氏は『四国遍路研究』の中で、「四国の浦路を、常に巡っていた修行聖の存在を、疑うことは出来まいと思う。(①)」と述べているが、そのような修行聖といわれた行者は霊場巡拝の四国遍路者としてではなく、大師の跡を慕って、修行の場として四国に渡った者が多い。その人たちについては第1章にゆずり、本節では、四国遍路を何度も重ねながら、その中で、四国案内記の刊行、道標石や遍路屋の設置などの作善行にも取り組んだ遍路びとに焦点を当て、その生涯や業績を整理してみたい。真念と仏海は僧侶として遍路にかかわり、武田徳右衛門と中務茂兵衛は僧侶ではなく、一庶民として遍路の世界に踏み込んだ者である。最後に行者というべきかどうかはともかくとして、何十度も四国霊場巡拝をした者たちがいる。それを多数度巡拝者の記録として紹介しておきたい。