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四国遍路のあゆみ(平成12年度)

3 武田徳右衛門-亡き子の菩提を弔うために-

 今治市の富田地区を中心とした地域に府中二十一ヶ所霊場があって、今も根強い信者を擁しているという。この府中二十一ヶ所霊場の開創者が武田徳右衛門である。この武田徳右衛門のもう一つの大きな業績に遍路行をする者のための丁石(①)の建立がある。ところで彼は、僧侶ではなく、格別信仰心が深かったわけでもなく、元々はごく平凡な一人の農民であった。その彼の身に降りかかった不幸というか、あるいは苦悩というか、そうした耐えかねるほどの悲しみの重さが彼自身を、そして彼の人生を大きく変えるきっかけとなった。彼がそこで出会ったものがお大師様であり、四国遍路の旅であった。ここでは、武田徳右衛門の不幸やその後の業績について整理してみたい。