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えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業15-四国中央市①-(平成30年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第3節 鉱山の記憶

 四国中央(しこくちゅうおう)市の土居(どい)・新宮(しんぐう)地域を地質学的な観点で見ると、両地域はともに中央構造線の南方に位置し、三波川変成帯(さんばがわたい)と呼ばれる、西は九州の佐賀関(さがのせき)半島から東は関東山地まで総延長約800kmに及ぶ大きな地質帯の中に位置する。三波川変成帯の分布地域では銅を中心とする金属鉱山が多数見られ、その最も有名なものが新居浜(にいはま)市の別子(べっし)銅山である。土居・新宮地域でも主な鉱山として赤石(あかいし)鉱山(クロム)、寒川(さんがわ)鉱山(アンチモン)、新宮鉱山(銅)、佐々連(さざれ)鉱山(銅)などの鉱山があったが、特に後者の2鉱山は、愛媛県内の金属鉱山としては最も遅く(昭和53年〔1978年〕から昭和54年〔1979年〕)まで稼働していた鉱山であり、多くの人々が鉱石の採掘、選鉱、運搬などの業務に従事していた。
 本節では、特に赤石鉱山及び新宮鉱山についての記録を中心とし、岩石学的、鉱床学的な見地からの学術的な内容は、地質調査所、四国通商産業局、日本鉱業協会、四国非金属工業会などの報告書に詳しいのでここでは省き、それぞれの鉱山の概要とともに、鉱山で働いていた人々の仕事やくらしの様子について、鉱山が操業していた当時の様子を知る地元の人々から話を聞いた。