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えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業17ー宇和島市①―(令和元年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第2節 施設園芸と人々のくらし

 旧三間(みま)町(現宇和島(うわじま)市)は、愛媛県の南西部に位置し、北は旧野村(のむら)町及び宇和(うわ)町(いずれも現西予(せいよ)市)、西は旧吉田(よしだ)町(現宇和島市)、南は宇和島市(旧市域)、東は旧広見(ひろみ)町(現鬼北(きほく)町)と接している。県内屈指の米どころとして知られるほか、野菜栽培や乳牛の飼育、イチゴ栽培、花卉(き)栽培なども行われている。
 旧三間町を含む宇和島市周辺地域では、昭和50年(1975年)ころからイチゴの大規模栽培が始まった。現在は平成4年(1992年)に種苗登録された「レッドパール」が普及している。「レッドパール」は、美味ではあるが冬の時期に着色の悪い「とよのか」種と比較的色付きの良い「アイベリー」種を交配させて作られた品種で、旧三間町のイチゴ生産農家によって開発されたものである。
 また、昭和45年(1970年)からは減反政策に伴って米の生産調整による作付転換が推進され、水田の別途利用が考えられるようになってきた。その一つとして、休耕田を有効利用して本格的な花卉栽培が行われるようになり、音地地区では生産グループの手によって電照菊や新テッポウユリ、マイクロマムなどを中心に多くの花を高松(たかまつ)市や松山(まつやま)市、宇和島市の各市場へ出荷するようになった。その後、旧三間町のほぼ中央部に位置する元宗地区ではハウスを利用したアイリス栽培が盛んに行われるようになり、その大部分が宇和島市場に出荷されてきた。
 本節では、旧三間町の施設園芸を中心とする人々のくらしについて、Aさん(昭和4年生まれ)、Bさん(昭和5年生まれ)から話を聞いた。