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遍路のこころ(平成14年度)

2 文化の伝播

 四国遍路は、弘法大師の遺徳を慕う僧侶などが四国の山野や海辺の辺地を巡り歩いて修行したのが原初ともいわれる。こうした宗教者の修行として行われていた遍路に加えて、江戸時代には一般庶民の遍路が発生し、次第に隆盛に向かっていき、現代につながってきた。
 このような遍路や諸国回国の巡歴者を通して有形・無形の様々な情報や文化(言葉、伝説、風俗、医学、学問、産業など)が伝播(でんぱ)されていったことは十分に考えられる。彼らは四国の地に様々なものを持ち込んだり、あるいは反対に四国の地から全国各地に広めていった。真野俊和氏はそういう人物を文化英雄と称している(①)。
 しかし、これらの多くは名もない者たちによる行為で、確たる記録も乏しく伝承に委ねられていることが多い。ここではそれらを含めて伝承による文化交流として、その文化の伝播の様子を探った。