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えひめ、その住まいとくらし(平成17年度)

はじめに

 この報告書は、平成17年度のえひめ地域学調査研究活動の成果をとりまとめたものです。
 本県におきましては、平成15年3月に、「学び、伝え、共に創る生涯学習社会」を基本目標に掲げた『愛媛県生涯学習推進計画』を策定いたしました。この計画には、三つの重点施策の一つとして「地域学の推進」を位置付けています。
 愛媛県生涯学習センターでは、ふるさと愛媛をよく知り愛することを基本テーマとして、人々のくらしや文化、産業など様々な角度から、「えひめ地域学」の研究を行っています。すでに延べ5,000人を超す皆様から貴重なお話を伺ったり、資料や写真などを提供していただいたりしています。平成15年度からは、ふるさと愛媛の基層文化(衣・食・住)に着目し、3か年計画で、広く県下全域を視野に入れた調査を進めてきました。最終回にあたる今年度は、「住まいとくらし」に焦点を当てた調査を実施し、昭和初期から昭和30・40年代の高度経済成長期にかけてのふるさと愛媛の住まいをめぐる原風景をたどりました。
 今回調査テーマとなった「住まいとくらし」は、人々の生活の基層文化であると同時に、時代の変遷の影響を徐々に受ける傾向があります。ふるさと愛媛にあって、日々生きてこられた方々の生活体験に学びながら、これからの愛媛の進むべき方向を探ろうとしました。さらには、県民の皆様一人ひとりが、あらためてふるさと愛媛に目を向けられ、地域文化をはぐくむ生涯学習風土を作り上げていっていただけるよう、現地調査に重点をおいて、地域学の調査方法の確立にも努めました。このような取り組みを通して、人々のくらしや文化、産業などの基層には、ふるさと愛媛を愛してやまない多くの皆様の熱い思いが脈打っていることを実感することができました。
 調査は、対象地域を幅広く、また、学際的に取り上げましたので、統一性や掘り下げが不十分な点もあるかと思いますが、それぞれの地域のすばらしさとそこで培われてきた基層文化の重みを感じていただき、さまざまな場で本書を御活用いただければ幸いです。
 終わりになりましたが、市町教育委員会をはじめ今回の調査に御協力いただいた皆様方に、改めて厚くお礼を申し上げます。

 平成18年3月
                            愛媛県生涯学習センター  
                            所長 中 川 敬 三