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えひめ、その住まいとくらし(平成17年度)

(3)昭和30年代から40年代の住まいの変化

 平成17年に実施した県内の各市町教育委員会と老人クラブを対象とした県内の住まいの変化についてのアンケートによると、昭和30年代から40年代にかけて住まいが大きく変化したことがわかる(図表序-11参照)。質問1の「台所が土間・かまどから、ダイニングキッチンになった」時期について、昭和30年代と40年代をあわせると77%である。また、質問2の「座位の生活に、立位の生活(椅子(いす)・机・テーブル)が入ってきた」についても74%となっている。これらの変化を食事の風景という視点でとらえると、「箱膳(はこぜん)」を並べたり「ちゃぶ台」を囲んだりして板張りの床や畳の上に座っていた和式の食事のとり方が、テーブルに向かって椅子(いす)に腰を下ろす洋式のものに大きく転換した時期が昭和30~40年代であったと考えることができる。またこの時期には、台所には食堂セットやステンレスの流し、ガス湯わかし器、さらには電気冷蔵庫などの耐久消費財が次々と持ち込まれ、便利で快適な住まいとくらしが実現されてきたのである。この時代に人々があこがれ、積極的に購入していた耐久消費財に「三種の神器」と呼ばれた「白黒テレビ(または、電気掃除機)」、「電気洗濯機」「電気冷蔵庫」があったが、そのような耐久消費財の流入が、今日に通じる「便利なくらし」の原型をつくりだしていたのである。
 一方、便利なくらしが営まれた住まいそのものには昭和30年代以降、次のように変化が起きたことが指摘されている(⑲)。

   ア 靴箱を備えたタイル張りの玄関がつくられたこと
   イ 洋風の応接室や洋間が多くなったこと
   ウ 一般に子ども部屋、老人部屋などの個室の習慣が広まってきたため、従来の平屋建てから、2階建てにかわっていっ
    たこと
   エ 多くは和室の二間を通し部屋に広げることができるようにしていること
   オ 座敷には床の間・違い棚・神棚を設け、いずれかの部屋に仏壇があること
   カ トイレ・風呂・炊事場が土間式から床上式になり、タイルまたは合板建材の床となったこと
   キ テレビを置いた居間が家族生活の中心となったこと
   ク 全体的に、壁・窓・ドアが多くなり、襖・戸・障子が少なくなったこと

 このように、耐久消費財の流入ばかりでなく、住まいそのものの大きな変化が、それ以前の住まいとくらし方を大きく転換させ、今日に受け継がれたのである。

図表序-11 住まいの変化についてのアンケート結果(%)

図表序-11 住まいの変化についてのアンケート結果(%)