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えひめ、人とモノの流れ(平成19年度)

第3節 宇和島市に見る人の流れ

 宇和島(うわじま)市は、平成17年に吉田(よしだ)町、三間(みま)町、津島(つしま)町と合併し、人口92,672人の都市になった。平成12年の国勢調査から宇和島都市圏の通勤・通学状況を見ると、他の市町村から宇和島市への流入は6,701人で、その居住地は南予一円から高知県にも及んでいる。特に多いのが津島町、広見(ひろみ)町、三間町、吉田町で、それぞれ1,000人を越えている。また、宇和島市からの流出も南予一円から高知県まで及んでいるが、流出者の総数は2,873人で流入者より4,000人近く少ない。宇和島周辺市町村の通勤・通学状況を見ると、宇和島市への流出が流出者総数の過半数を占めているのが、吉田町(68.3%)、三間町(66.0%)、広見町(64.2%)、津島町(77.8%)であり、これら4町が宇和島と密接な関係にあったことを表している(図表2-3-1参照)。また、昼夜間人口比率は106.1で松山市(103.3)より高くなっており、昼間は松山以上に周辺地域から流入する人の割合が高い。
 地域最大の総合病院である宇和島市立宇和島病院(明治43年創立、559床)の入院患者(平成12年)の居住地を見ると、宇和島市内(47.8%)、北宇和(きたうわ)郡(26.7%)、東宇和(ひがしうわ)郡(11.3%)、県外(8.1%)、南宇和(みなみうわ)郡(3.9%)となっており、東宇和郡(現西予(せいよ)市)以南から県外(高知県)にまで医療圏が及んでいることがわかる(⑨)。『宇和島市の地理(⑩)』によると、昭和63年の宇和島病院への通院者73,037人のうち、高知県からの患者は4,245人で、内訳は宿毛(すくも)市1,124人、西土佐(にしとさ)村991人、十和村(とうわそん)944人、梼原(ゆすはら)町696人、大月(おおつき)町222人ほかとなっている。
 『宇和島市の地理』では宇和島市の通婚圏についても調べており、市外からは北宇和郡や東宇和郡、南宇和郡さらには高知県や大阪、九州からも嫁入りしている。以上のことから宇和島市の都市圏は四国西南部一帯に及び、この地域の中核都市として人の流れの中心となっていることがわかる。本節では宇和島市の臨海部にある遊子(ゆす)地区と山間部にある三間町を取り上げ、人の流れや人々のくらしの変化について探った。


図表2-3-1 宇和島市周辺各市町の通勤・通学状況(流出人口中宇和島市の占める割合)

図表2-3-1 宇和島市周辺各市町の通勤・通学状況(流出人口中宇和島市の占める割合)

平成12年国勢調査結果から作成。