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えひめ、人とモノの流れ(平成19年度)

(4)子どもたちにとっての大会

 ア いきいきと手伝う子どもたち

 「島の子どもたちにとって現在22歳より若い世代にとっては、トラアスロン大会は生まれる前からやっていることですから、大会は『あって当たり前』、いわば『伝統行事』のような感覚になっていて、手伝うのも当たり前というようになっていると感じています。
 もともと1~9回大会までの子どもたちの役割は護岸用のテトラポットの上や沿道に立って手旗を振り、応援するのが役割でした。純なもので子どもたちはお弁当を持参して応援にきてくれていました。しかし、応援するばかりでは面白くないですから、コース上の5か所に設置したエイドステーション(給水所 写真4-1-5参照)での手伝いを呼びかけてみました。そうすると、選手との交流も生まれ、子どもたちも活発に動いてくれました。例えば、選手が飲み干して投げ捨てた給水用のコップの回収などは、われ先に競争でもしているように走って取りにいってくれます。『おいちゃん、何かさせて!』と寄ってきて、頼むとすぐにいきいきとに動いてくれるので、私たち大人もうれしくなります。そういった子どもたちには、大会Tシャツやお弁当と飲み物を出しています。これがまた子どもたちにはうれしいようです。こうやって子どもたちにとっても大会が島の一大イベントとして意識されているようです。少子化のこともあり、島の子どもたちも昔と比べるとずいぶん減ってきていますが、やっぱり元気良く動き回ってくれて、頼もしい限りです。」
 こういった子どもたちの様子について、50代の男性選手(松山市)に聞くと、「子どもたちから『おいちゃんがんばって!』と声をかけられて給水のコップを受けると、その前のポイントで十分に水を飲んでいたとしても、『ありがとう!』といって思わずそれを受け取ってしまいます。全部は飲めませんが、やっぱり口にしてしまうのです。また、レース中に『選手が、こんなふうにハイタッチしてくれた。』と喜ぶ小学生もいます。トライアスロンは、1分1秒を争う面もありますが、中島の風土と人柄から、こういったやりとりも生まれやすいのだと思います。」と話した。

 イ ジュニアアクアスロン

 「10回大会からは大会当日に子どもたちも参加できる企画として小学校の5、6年生を対象に『ジュニアアクアスロン』を実施するようにしました(写真4-1-6参照)。『アクアスロン』とは自転車のないトライアスロンのことです。水泳は150m、ランニングは2kmとし、大人の競技が始まる午前9時30分を開始時間とし、参加費は無料としました。
 実は、この企画にはもう一つ大きなねらいがあったのです。9回大会までは中島本島の皆さんには大会の運営に深くかかわってもらっていたのですが、本島以外の五つの島(野忽那・睦月・怒和・津和地・二神)の皆さんのかかわりはとても少なかったのです。そこで、五島の小学生が参加する大会を実施すれば、子どもと一緒に親たちも本島に来てくれてトライアスロン大会というものがどんなものか自分たちの目で実際に見て、そして、かかわってもらえるようになるのではと考えたわけです。  
 平成17年の合併後は選手の募集範囲を旧松山市と旧北条市にも広げました。受け入れが可能なのは100人程度ですから各学校に案内を送っている程度で大々的な呼びかけはしていませんが、年々島外からの参加が増えています。スイミングスクールやスポーツ少年団で活動している子どもたちが多いようです。子どもたちには前泊を認めていませんので、早朝の高浜(たかはま)港に集合してもらっています。」

写真4-1-5 はい、どうぞ

写真4-1-5 はい、どうぞ

エイドステーションの様子。松山市長師(中島)。平成19年8月撮影 

写真4-1-6 ゴールイン

写真4-1-6 ゴールイン

姫ヶ浜ビーチ。松山市長師(中島)。平成19年8月撮影