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宇和海と生活文化(平成4年度)

(2)写真で見る自然①

 宇和海沿岸地域、とくに細長い半島部(三瓶地域を含む)といえども、その自然は海・山・空と実に広大で、人跡まれな秘境の地すら点在している。写真で見る自然といってもここでは小さい針の穴からのぞいたようなものである。

 ア くらしと緑の自然

 愛媛県下でも有数の豊かな自然の残された貴重な地域だと思う。とくに黒潮の影響もあって、緑の植物景観(暖地性植物)に特色があると思う。また自然現象のなかで、砂嘴(さし)や潟湖(せきこ)の形成も特徴的といえよう(写真3-1-22~34・39参照)。
 三崎町のアコウ(写真3-1-25参照)の大樹・瀬戸町のツワブキ(写真3-1-31参照)、三瓶町のセトノジギクなど、各地域のシンボルである。また地域に住む人々のくらしの中の植物である。このような植物を中心に焦点を合わせてみた。

写真3-1-22 ハマヒサカキの風衝林

写真3-1-22 ハマヒサカキの風衝林

三崎町正野から岬突端に近い樹林をくぐり抜けると、山の斜面にハマヒサカキが、強風によって風衝樹形を作る。平成4年8月撮影

写真3-1-23 アキグミ

写真3-1-23 アキグミ

グミには何種類もあり、俗にシャシャブと呼ばれる。佐田岬半島の海岸近くに多く、昔この葉をお茶の葉の代用にした。平成4年9月撮影

写真3-1-24 阿弥陀池(あみだいけ)

写真3-1-24 阿弥陀池(あみだいけ)

三崎町井野浦の阿弥陀池は砂嘴(さし)から出来た潟湖(せきこ)で、コイ、ウナギ、ボラ、モクズガニなどが住み、水生植物のウキヤガラ、ヨシなどが生えている。平成4年9月撮影

写真3-1-25 アコウ(アコギ)

写真3-1-25 アコウ(アコギ)

三崎町にある国の天然記念物、アコウ(アコギ)の大樹で、樹齢600年と推定され、幹の途中から気根を出して絡みあっている。熱帯または暖地性のクワ科の植物で、イチジクに似た小さい果実を生じる。地元では、夏涼を楽しむ。平成4年11月撮影

写真3-1-26 大くす(クスノキ)

写真3-1-26 大くす(クスノキ)

三崎町伝宗寺境内の大くす(クスノキ)は、樹齢1,000年以上と伝えられている。この樹にまつわる伝説に、戦いに勝利するときには、花が咲くといわれ、縁起のよい樹だとされている。平成4年11月撮影

写真3-1-27 井野浦の石垣

写真3-1-27 井野浦の石垣

三崎町の阿弥陀池と海岸との間に見られる井野浦の景観で、緑色片岩を積み重ねた石垣。石垣の向こう側に住宅と畑があり、防風、防潮の備えである。平成4年9月撮影

写真3-1-28 トベラ

写真3-1-28 トベラ

暖地の海岸に多い常緑灌木で、球形の実を沢山つける。節分の行事には、この枝が悪魔除けに使われる。平成4年8月撮影

写真3-1-29 トキワススキ

写真3-1-29 トキワススキ

ススキよりやや大形で、高さ2m位、暖地の海岸近くに多い。花は7~8月で乾燥した茎は細い縄で編み、す(しのず)をつくる。平成4年8月撮影

写真3-1-30 高茂牧場の牧草地

写真3-1-30 高茂牧場の牧草地

瀬戸町高茂(こうも)地区には、現在300頭ほどの和牛がいる。ここはその牛の飼料となるススキ、チガヤの草原で、刈り取った草は乾燥して山積みにしておく。冬季にこの干草をえさとする。平成4年10月撮影

写真3-1-31 ツワブキ

写真3-1-31 ツワブキ

海辺の路傍に多く、普通大群落をつくる。葉柄を粕漬やみそ漬のはか煮て食べる。10月頃黄色の花を沢山つける。平成4年10月撮影