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わがふるさとと愛媛学Ⅱ ~平成6年度 愛媛学セミナー集録~

◇街並み保存活動のきっかけと魅力

 私が保内町に住んで、ちょうど8年になる。保内町は、西宇和郡で佐田岬半島の付け根にあたり、八幡浜の北側、人口1万2,000人余りの町である。現在、私は保内まちなみクラブという組織で明治期の街並み保存の活動に取り組んでいる。
 そうした活動のきっかけは、昭和61年に、街並み保存の先進地である内子町で、ドイツのルーテンブルグの市長さんを迎えた、街並みシンポジウムであった。ルーテンブルグは、中世ヨーロッパの街並みがそっくり残っているというロマンチック街道沿いにあり、街並み保存の世界的な先進地、モデルケースである。その市長さんから、ルーテンブルグの門には、「来たりし者に安らぎを、去りゆく者に幸せを」と書かれてあることを聞いた。そういったまちづくりの精神的な基本がきちんとできている町である。そうした言葉を聞いて非常に感銘を受け、それから「全国まちなみゼミ」という街並み保存の全国大会のようなものに、毎年参加するようになった。