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わがふるさとと愛媛学Ⅱ ~平成6年度 愛媛学セミナー集録~

◇地域の歴史や生活文化から発見したこと

 本当に私の場合は、作りながら勉強させていただいている。大明神の場合の、伊勢との関係。来月号に載せる予定の、松野町の根来地区という、忍者の里だっただろうという地区についても、織田信長とか秀吉に追われたのか、そうではなくて、傭(よう)兵として来たのだろうかという、中央との関係がある。それから、現在、河後森城の発掘をしていくと、中国のほうの陶磁器とかも入っており、世界につながっている地元の歴史を垣間見ることができる。本当に楽しいというか、いろいろ教えてもらっている。
 それとお年寄りの知恵というか、そういう中で、昔の人の知恵、水虫にきく薬とか、ドクダミがいいとか、アロエ酒がいいとか、そういういろんなお話を聞かせていただいて、載せている。また、現在いろいろと環境問題等が言われているが、元々昔の日本の文化というのは、自然と共存してきた文化で、そういうお年寄りのお話を聞くと、今、エコロジー(生態系の保存)とか言われることを、昔は皆当たり前にやっていたのだというのがよくわかる。
 私にとって、今、「愛里」の発行がどういう意味を持っているかと言うと、自分のおへそ探しだと思っている。私のほうは、芝居をやっているが、役者の場合、腹筋さえついていれば、どんな役でも基本的にやれる。お腹に力さえついていれば、手も足も、声も自由自在に動くことができる。腹筋がついていない場合というのは、やたら無駄な動きが多い、声は出ない、形が決まらないということになる。私たち人間の場合でも、おへそがきちんとしているということが大事ではないか。そのおへそとは何なのかと言った時に、要するに自分探しの旅みたいな感じで、私は自分たちの地元のことを知ることが大事ではないかと思う。「愛里」の発行も、芝居でも、自分の作品が作りたかった。では私は、一体何なんだと言った時に、やはり私は、日本人で、愛媛県人で、広見町民で、地元のことがわからないと、自分自身がわからないわけである。