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わがふるさとと愛媛学Ⅲ ~平成7年度 愛媛学セミナー集録~

◇栄養学的に見た郷土料理

 それから、料理ではないんですけれども、「東山(ひがしやま)」「カイボシ」です。これなんかも、段々畑で作ったお芋の余りとか、海で取れたイリコの余りを加工したものだと思うんです。私たちの子供のころには、「東山とカイボシ」と言うと貧しさの象徴みたいなものでしたが、栄養学的にはすごくいい取り合わせなんです。イリコでたんぱく質とカルシウムが取れますし、今、非常に繊維を取りなさいと言われていますけれども、さつま芋の中には、炭水化物のほかに繊維もビタミンAもあります。日本は長寿ナンバー1ですが、欧米の人がそれはなぜかを研究した結果、食べる物に原因があるのではないかということで、栄養的には、日本料理が見直されております。
 皆さんが、今一番関心を持っているのは、健康のことだと思うんです。がんを防いだり、予防の可能性のある主な物質として、ポリフェノール、食物繊維、含留化合物、ベータカロチンなどが知られておりますが、大豆とかゴマなどにはポリフェノール、お芋とかコンニャクとか海藻類などには食物繊維、そして、ネギとかニラなどには含留化合物が、多く含まれています。この点から宇和島の郷土料理を見てみますと、「ふくめん」はコンニャクを使いますし、「鯛飯」にも「さつま」にも、薬味にゴマもネギも使います。ただし、これだけでは、緑黄色野菜に多いベータカロチンがちょっと不足しておりますので、おうちで食べられる時には、ちょっとカボチャの煮たのを加えるなどして、食べていただいたらいいと思います。