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わがふるさとと愛媛学Ⅴ ~平成9年度 愛媛学セミナー集録~

はじめに

 「ふるさとは、遠きにありて思うもの」という、ふるさとを郷愁の対象とする時代は去り、「ふるさとは、近くにありて創るもの」という時代に入ってきたといわれています。
 また、成熟社会に向けての生涯学習の大切さが認識されるようになり、ふるさとのことをもっとよく知ろうとする「地域学」が注目されるようになってきました。
 そこで当センターでは、平成3年度から、県民の皆様が主体的に、また気軽に参加し、地域の生活文化を見詰め直し、もう一度、ふるさと愛媛のよさや「らしさ」を再認識していただけるよう、アマチュアの素朴な探究心を大切にした新しい地域学「愛媛学」を提唱して参りました。
 その一環として、より多くの県民の皆様方に「愛媛学」を理解していただくために、今年度も、県内3会場で「愛媛学セミナー」を、また当センターで「愛媛学卜-キング」を、それぞれ開催いたしました。
 「愛媛学セミナー」では、「わがふるさとと愛媛学」という統一テーマのもと、より身近に感じていただけるように、「水軍文化の里・みやくぼ」(宮窪町)、「巨樹が育むふるさと・小田」(小田町)、「伝統文化が息づくふるさと・広見」(広見町)と、それぞれの地域の特色を生かしたサブテーマを設け、ふるさとの再発見を試みました。
 「愛媛学トーキング」では、「愛媛の景観」というテーマで、鳥越皓之さん(関西学院大学社会学部教授)の講演や、地域の景観に関するいろいろな取り組みをされておられる方々のユニークな活動の発表などを通して、「愛媛学」を考えてみました。
 本書はその集録であり、県民の皆様に「愛媛学」の趣旨を十分に理解していただき、生涯学習や地域研究の楽しさを味わっていただきたいと願って発行するものです。県民の皆様が、それぞれの立場や感性で、すばらしい郷土愛媛について調べたり考えたりするきっかけとして、本書を広く御活用いただければ幸いです。

   平成10年3月
                                            愛媛県生涯学習センター