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わがふるさとと愛媛学Ⅵ ~平成10年度 愛媛学セミナー集録~

◇「いかざき自然ウォッチング」の概要

 それでは、この「いかざき自然ウォッチング」の主な行事について、少し説明をさせていただきたいと思います。
 まず、「水生生物調べ」についてお話したいと思います。
 これは、松山淡水ベントス研究所長、桑田一男先生の指導を受け、町の中心を流れる小田川に入って、水中に生息する昆虫を採集し、捕獲した昆虫の種類によって、水の汚染状況を診断するものです。水生昆虫をスケッチしたり、堤防や河川敷の様子を観察したり、自然にやさしい生活のあり方まで考えていきます。
 今年の調査結果としては、清流の代表であるカワゲラやカゲロウがかなり多く見つかったのはよかったのですが、少しの汚れを好むカワニナやヒラタドロムシがそれ以上に見つかっており、一見きれいに見える小田川も、生活排水等による汚染が進行していると考えられ、油断ができない状態だと思います。
 次に、「植物調べ」について、お話します。
 小田川の岸辺に生えているたくさんの植物は、普段から見慣れた野草ではあっても、なかなか名前までは分からないものです。そういったさまざまな植物を採取し、スケッチをして名前を調べたり、名前の由来を教えてもらったりします。小田川には、「ミゾコウジュ」という絶滅の恐れのある、貴重な植物もまだ残っています。
 また、河原のエノキの大木に聴診器をあて、木の営みの音を聞いたりもしました。聴診器から聞こえる「ザー」という木の音に、子供たちも木は生きているのだと実感したようです。そして、ほとんどの野草が食べられるので、持ち帰った野草を天ぷらにして食べたのですが、揚げたての野草の天ぷらを食べるような行事はめずらしく、子供たちに好評でした。
 「わくわくキャンプ」という行事も行っています。
 小田川河川敷のエノキの下で、「わくわくキャンプ」という1泊2日のキャンプを実施しています。その間、救命救急法訓練や、大洲青年の家に御協力をいただいて、目の前の小田川で行うカヌー教室、愛媛県自然観察指導員連絡会代表の山本栄司先生の指導による昆虫観察、慣れない手つきで悪戦苦闘する調理実習、キャンプファイヤーなどを行っています。昆虫観察のときにヘビを見つけ、捕まえて子供たちに触らせたことがありましたが、子供たちは想像していた感触とは違っていたのか、驚いていました。テント設営や調理は子供たちが慣れていないので、なかなか作業が進みませんが、何でも子供たち自身でやらせることが目的なので、手を貸したくなっても、大人たちはじっと我慢して見ています。
 さらに、「バードウォッチング」も行っています。
 この行事では、新田高校、丹下一彦先生をお招きして、小田川河川敷を歩きながら、そこに生息する鳥類を観察します。普段めったに見られない「カワセミ」を見ることができたとき、その美しさに、子供たちはもちろん、大人もいっしょになって感激しました。今度の目標は、龍宮堰あたりに飛来する「ヤマセミ」を見ることです。子供たちは、先生から、河原のゴミを鳥が餌と間違えて食べて死んでしまう話を聞き、これくらいと軽い気持ちでゴミを捨てることの恐ろしさを知ったようです。
 そのほかに、「ネイチャーゲーム」という、町内の宇都宮神社の森を舞台に、樹木や木の葉、鳥のさえずりや風の音などを、五感をフルに使って感じながら、ゲーム感覚で自然に親しむ催しとか、動植物を観察しながら、山を登り、到着地である日本有数の銅山であった大久喜(おおくき)鉱山(銅山)跡地を見学して、当時の町の様子などを勉強する、「ウォークラリー」といった活動などもあります。