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わがふるさとと愛媛学Ⅶ ~平成11年度 愛媛学セミナー集録~

◇カツオにまつわる資料

石原
 最後に、海の博物館にはカツオに関係する資料が2、3千点ありますので、そのうちの幾つかをスライドでお見せしたいと思います。

写真3
 これが海の博物館です。左側の三つの建物は、すべて収蔵庫です。来館者に開放しているのは右側の二つだけです。どの建物も木造で屋根は瓦葺(かわらぶき)です。

写真4
 海の博物館では、幾つものコレクションを行っているのですが、その一つに、木造船があります。現在、約60隻の実物の船が収蔵されています。画面の上から2隻目に船体に模様の入った船があるのがお分かりになりますか。これが三重県下で古い時代に作っていたカツオ漁の船です。こういったモノも収蔵しながら、皆さんに見ていただいています。

写真5
 海の博物館の展示のメインはカツオです。櫓(ろ)こぎ時代のカツオ船を復元したものに人形を置いて、カツオ釣りをしているところを展示しています。さらに、このカツオ船の周囲にいろいろな資料を配置しています。

写真6
 例えばその一つが、カツオ漁の絵図です。これは、おそらく江戸時代までさかのぼるだろうと思います。

写真7
 それから、カツオ船の船主さんたちのところには、カツオ船の水揚げ帳がたくさん残っています。これは比較的新しくて明治時代のものです。

写真8
 これは、江戸時代に使われた釣り針です。これなども興味深いですね。柄は水牛の角製で、その先にフグの皮がくっ付いている非常に古い形のものです。

写真9
 昨日、深浦港へ行ったときに、そこに停泊している漁船をのぞいてみますと、これと同じカツオ釣り用の擬餌針(ぎじばり)を使っているようでした。志摩ではこの擬餌針を。「チャン」とか「バケ」と言います。実は、カツオ釣り用の擬餌針は三重県で大量に生産されていまして、それを全国に売っています。それで、こちらの方もこれを使っていらっしゃる。釣り針にモドリがないので、これはカツオ針であることがはっきり分かります。こういうことも、物を気をつけてよく見ると分かるのです。

写真10
 これは、カツオを発見するときに使うめがね。遠めがねです。

写真11
 最近、海の博物館では、敷地内の体験学習館で、カツオ料理を作って食べていただく会を始めました。地元のカツオ釣りの名人に来ていただいて、カツオ船の上ではこんな料理を作るんだよと披露していただいております。これは、カツオの血合いと味噌(みそ)を混ぜたもので、志摩では「たたき」と言っています。こうした料理を船の上では作っていました。

写真12
 これは、「手こねずし」と言われる、三重県独特の伝統的な調理法です。みりんとお醤(しょう)油を混ぜた汁を一度煮立てて冷ましたものの中ヘカツオの刺し身を漬け込んで、まぶして食べるという寿司の一種です。
 時間が参りましたので、ひとまずわたしの話は終わらせていただきます。