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わがふるさとと愛媛学Ⅶ ~平成11年度 愛媛学セミナー集録~

◇島の生活史を記録し伝える意義

 以上、お話ししてきましたように、今回、この聞き取り調査を行うなかで、ぜひ子供たちに残してあげたいと思うことが、本当にたくさんありました。そして先人のすばらしい知恵を後々に語り継いでいかないと、本当にもったいないなと思います。物の無い時代だったからこそさまざまな生活の知恵が生み出されたのだと言われれば、それまでなのかも知れません。でも、現代のようにこんなに豊かな時代だからこそ、また人間関係が次第に希薄になっていると言われている世の中だからこそ、わたしたちが生かされている地域に刻まれてきた捨て難い生活史をもう一度振り返ってみる必要があるのではないかと思います。
 『弓削民俗誌』は、本当にわたしたちグループの宝となりました。これを作ったことによって、仲間の連帯感と信頼感が一層強まりました。そして、自分自身も、生活に向ける目が変わったように、家族の、妻を、母親を、そして嫁を見る目も変わってきました。やはり夫も子供も、お舅(しゅうと)さんやお姑(しゅうとめ)さんも、何かを一生懸命しているお母さんが好きなようです。子供は親の背中を見て育つとよく言われますが、まさにそのとおりだということを実感しました。
 グループ全員は、本当に個性豊かな人たちばかりですが、実に楽しい仲間たちです。「できる人が、できる時に、できる事を」をモットーに、無理のない活動を心掛けています。そして今後わたしたちは、この先人がせっかく残してくれた汗と知恵を、地域の皆さんと互いに生かし合いながら伝えて行かなければいけないのではないかなと思っております。御清聴をありがとうございました。