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えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業Ⅰ-伊予市-(平成23年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第3章 陶磁器づくりと港のにぎわい

 江戸時代、市場(いちば)村で始まる伊予市の窯業(ようぎょう)は、明治期に三島町(みしままち)へと移り、国内外の経済情勢の影響を受けながら、明治後半から大正期にかけて隆盛(りゅうせい)を遂(と)げる。その後、不況のあおりをうけて次第に衰退してゆく。こうした盛衰をたどるものの、三島町を中心に展開した陶磁器生産は、かつての伊予市の主要産業の一つであり、人々のくらしに大きくかかわってきた。
 また、ほぼ時を同じくして、積出港としての郡中(ぐんちゅう)港も陶磁器生産をはじめとする地場産業の隆盛に伴い飛躍的に発展し、人々は活気づいた。現在伊予港と改称されているが、郡中港の歴史は伊予市の歴史を理解するために欠かすことができない。
 本章では、三島町を中心とした陶磁器生産とかつての郡中港のにぎわいについて、昭和の記憶を柱とし、文献(ぶんけん)などの資料を踏(ふ)まえながら、そこに生きた人々のくらしについて具体的に探った。