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えひめ、昭和の記憶 ふるさとのくらしと産業Ⅱ-伊方町-(平成23年度「ふるさと愛媛学」普及推進事業)

第1節 くらしを支えた海

 全国有数の水産県である愛媛県の沿岸海域は、佐田岬(さだみさき)半島によって瀬戸内海(せとないかい)と宇和海(うわかい)とに分割される。佐田岬半島沿岸は瀬戸内海区に含まれ、半島一円は岩礁(がんしょう)帯であるが、半島突端には砂質の瀬(せ)があり好魚場を形成している。潮流は大部分が豊後(ぶんご)水道からの流入であり、水温・水質とも内湾(ないわん)性の燧灘(ひうちなだ)と外洋(がいよう)性の宇和海(うわかい)との中間を示し、この海域の魚介(ぎょかい)類は内湾と外洋性の二面性にわたる。このため、半島の浦々では藩政時代より、種類多く豊富な魚介類を獲(と)るために船引(ふなび)き網(あみ)、地引(じび)き網などの網漁法をはじめ、手釣り(一本釣り)や潜水漁法などによる漁業が盛んであった。
 本節では、その半島の漁業の中でも、伝統的漁法を今に伝え地域の特性漁業となっている三崎(みさき)地区の採(さい)貝・採藻(も)漁と一本釣りに焦点を当て、海とともに生きる人々のくらしや仕事を、聞き取り調査や文献調査によって探った。