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身近な「地域のたからもの」発見-県民のための地域学入門-(平成22年度)

(2)聞き取り調査の事前準備

 ア 事前連絡

 まず、聞き取り対象者や対象機関に依頼状を持参して訪ね、調査目的や質問内容を伝えて調査への協力をお願いし、了承してもらった後で調査日時を決定します。訪問しての依頼が難しい場合は、電話で調査への協力を打診して了承の返事をもらった後で調査日時を約束し、後日、依頼状を郵送します。聞き取り調査の依頼は、訪問して行うにしても電話にて行うにしても、自分の調査のために相手に忙しい時間をさいてもらうことです。自分の所属(勤務先・学校名など)や氏名をはっきりと名乗り、常に笑顔で接しながら、言葉づかいに注意し、失礼のない言動を心がけましょう。断られる場合もありますが、聞き取り調査をあきらめるのではなく、協力してもらえる方を探しましょう。

 イ 質問内容の決定

 聞き取りを行う対象者と日時が決まれば、具体的な質問内容を考えます。聞き取りをしなくても本で調べればわかるような質問は避けます。最初はすぐに答えることのできるような質問から始め、少しずつ話が広がるような質問内容を考えます。調査項目についての質問だけでなく、対象者の考えや思いを聞きだせるような質問内容も考えましょう。質問内容が決定したら、どのような返答が予想されるかを考えながら、「知りたいことについて答えてもらえるような質問になっているか」、「わかりにくい質問はないか」、「相手にとって失礼となる質問はないか」などをチェックし、質問内容を確認します。
 聞き取りの時間が限られている場合や聞き取り対象者が希望する場合は、事前に質問内容を書いた用紙を渡しておくとよいでしょう。

 ウ 準備するもの

 (ア)筆記用具、取材ノート、メモ

 筆記用具、ノート、メモは常に持ち歩き、相手の話はもちろん現場の様子や雰囲気、気がついたことを記録しておきます。

 (イ)質問用紙

 質問内容を紙にまとめたものです。調査日時や場所、聞き取り対象者の住所・氏名・所属などを書き込むことができるようにしておくと便利です。

 (ウ)デジタルボイスレコーダー、カセットテープレコーダー

 聞き取りの内容は、取材ノートに書きとめていきますが、内容をより正確に記録するために、デジタルボイスレコーダーやカセットテープレコーダーに録音しておきます。故障していないか、電池やバッテリーはあるか、などを事前に確認しておきましょう。
 ただし、録音する場合は、事前に聞き取り対象者の許可を得ることが必要です。

 (エ)デジタルカメラ

 聞き取り対象者の仕事の様子や取材の様子を撮影します。また、聞き取り対象者が持っている写真や資料を撮影することもできます。録音する場合と同様に撮影する場合は、報告書に利用することを伝えて事前に必ず許可を取ります。

 (オ)地図

 調査地域や聞き取り対象者の住居周辺の地図を用意しておきましょう。取材中に場所や地名の確認を行うことができて便利です。

 (カ)年表

 中学校社会科の歴史的分野の教科書や高等学校の日本史の教科書の巻末にあるような年表と、県内や市町の主な出来事を記した年表があれば便利です。例えば、取材の中で「昭和20年代後半に愛媛県で国体が開催された年だったと思います。」という話を聞き取り対象者から聞いた場合、年表を見て、「それは昭和28年でしょうか。」と正確な年代をすぐに確認することができます。      

 (キ)話を引き出す素材

 調査項目や聞き取り対象者に関係する雑誌記事や新聞記事の切り抜きを聞き取り対象者へ見せることで、その内容についての具体的な質問をすることができます。また、調査地域の昔の景観写真や町並みの地図などを見せることで、いろいろなことを思い出してもらいながら語ってもらうことができます。