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河川流域の生活文化(平成6年度)

第1節 川と農業

 本節では、肱川流域の農林業について、東宇和郡の宇和盆地、同郡野村及び伊予郡と喜多郡内における峡谷の山里、大洲盆地の三地域に分けて調査した。自然条件に大きく影響される農林業は、川とのかかわりも深いものがある。上流から下流へと流れとともに変化する地域の自然条件に適応し、さまざまな制約を克服しながら、特色のある生業を育てたくましく生きてきた人々の取り組みに焦点を当てた。
 「1 わらぐろの里に生きる」では、宇和の高原盆地の大湿田が、先人の乾田化への意欲と努力によって穀倉地帯へ変容してきた姿を追い、盆地の土と水と水稲とのかかわりを、レンゲ作りや「わらぐろ」の景観を通して明らかにした。「2 峡谷の山里に生きる」では、地形急しゅんな峡谷の山里の厳しい自然に適合し、その恵みを生かしてきた野村町の酪農、肱川町を中心とした木炭やシイタケ等の特用林産物、内子町・中山町等の果樹園芸に焦点を当て、名産の果実を求めて生きてきた人々の姿を追ってみた。「3 洪水と霧の里に生きる」では、大洲盆地の農家のくらしを、洪水と霧とのかかわりを通して追うとともに、大水や日照りや霧に耐え、豊かな水の恵みを生かして野菜作りに生きてきた人々の取り組みを明らかにした。