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河川流域の生活文化(平成6年度)

2 子供たちの盆

 「盆と正月が一緒に来たようだ。」という言い方があるが、盆と正月(小正月を含む)とは二大年中行事であり、民俗学では両者の類似対応を指摘している(図表3-3-3参照)。また、「6月と12月の大祓(おおはら)い」「春と秋の彼岸」「節季(盆暮れ2回の決算期)」など、わが国には1年を2期に分け、繰り返して生活する習慣があったのではないか。
 「暑中見舞い」と「年賀状」もその名残りと考えられなくもない。「麦秋」という言葉が生まれたのも何らかの関係がありそうだ。1年を両分する盆と正月が対応する行事となり、類似点が多いのもうなずける。もちろん年中行事は複雑であり、盆と正月の行事においてもすべて一致するとは言えない。しかし、ここでは両者を比較検討するのが目的ではない。ただ、盆飯が正月小屋(子供たちが寝食を共にする正月の行事の折の仮小屋。)と、百八灯(ひゃくはっとう)が左義長(さぎちょう)(門松や注連(しめ)飾りなどを焼却する行事。)と対応関係にあり、しかもそれらがすべて子供中心の行事であるということを指摘しておきたい。年中行事の構造、盆と正月については『日本民俗文化大系 暦と祭事』第一章年中行事の構造(田中宣一)第二章正月と盆(小野重郎)で詳しく論じられている。

図表3-3-3 盆と正月諸行事の類似対応例

図表3-3-3 盆と正月諸行事の類似対応例