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臨海都市圏の生活文化(平成7年度)

第1節 生活意識調査の概要

1 調査の計画と設計

(1)目的
   臨海都市圏の人々が、地域や日常生活に対してどのような考えや意識を持っているかを探ることにより、この地域の生活
  文化を総合的・多角的にとらえるための基礎資料とする。

(2)調査課題
  ア 地域に対するイメージや魅力について
  イ 人々の気質と意識について
  ウ くらし向きの変遷と日常生活に対する満足度について
  エ 生活実態(購買圏)について

(3)調査設計
  ア 調査地域
    臨海都市圏の15市町村
     松山市、今治市、新居浜市、川之江市、伊予三島市、伊予市、北条市、〔宇摩郡〕土居町、
     〔越智郡〕朝倉村、玉川町、波方町、大西町、菊間町、〔伊予郡〕松前町、双海町
  イ 調査対象
    20歳以上の男女
  ウ 標本数
    各市町村ごとに50人、計750人
  エ 標本抽出法
    無作為抽出法
  オ 調査方法
    留置調査法(対象者の自記式アンケート)
    配布・回収は下記の町村教育委員会と県立高等学校に依頼
  力 調査時期
    平成7年7月20日~31日
  キ 調査依頼先
    朝倉村教育委員会、玉川町教育委員会、波方町教育委員会、 大西町教育委員会、菊間町教育委員会、
    双海町教育委員会、川之江高等学校、三島高等学校、土居高等学校、新居浜東高等学校、今治北高等学校、
    北条高等学校、松山南高等学校、伊予高等学校
  ク 調査実施
    愛媛県生涯学習センター

(4)回答者の属性(回収数717、回収率95.6%)
   (表「回答者の属性」参照。)

(5)結果分析の視点
  ア 調査対象は前記の臨海都市圏15市町村で、東予の川之江市から中予の双海町と広範囲にわたるうえ、市部・郡部、あ
   るいは臨海部・山間(あい)の地域と、市町村間の差異が大きいので、市町村間の比較調査からそれぞれの地域の特質をつ
   かむように努めた。市町村間の比較については、標本数が少ないことから、危険率(有意水準)が5%未満のものを中心
   に分析した。また、この調査は生活者の意識調査であり、具体的な生活内容等に踏み込んだものではない。なお、南予の
   市町村が含まれていないことに考慮を要する。
  イ さらに、今年度は5か年計画の最終年度にあたり、全県的な視点での分析も試みた。これまでに実施した「瀬戸内の
   島々の生活文化」「宇和海の生活文化」「県境山間部の生活文化」「河川流域の生活文化」(以下、それぞれ『瀬戸内の
   島々』『宇和海』『県境山間部』『河川流域』と記す。)における生活意識調査と基本的に同一の調査票を用いて実施し
   ており、これらの地域との相互比較を通じて、「臨海都市圏の生活文化」の特質を明らかにするように努めた。
  ウ 年齢層別・性別の分析や、生活時間、生活費については、昨年度までの各地域の調査内容と大きな差異がなかったた
   め、今回は記載しなかった。
  エ 賛否の度合いの強さや有無の程度を問う質問の分析に当たっては、次に例示する方法により結果を加重平均し、
   「○○○指数」を算出し比較検討した。
  オ 全県レベルの調査との比較をするため、次の調査結果を本文中に引用した。
      ◎愛媛県 県民性に関する世論調査 1989(標本数1,200、回収率 81.8%、留置法)
    また、調査の設計・分析において参考にした他の調査は、次のとおりである
      ○内閣総理大臣官房広報室 長寿社会における男女別の意識の傾向に関する調査 1989
       (標本数3,000、回収率76.9%、個別面接聴取法)*以下、(  )内は同じ項目
      ○読売新聞社 読売全国世論調査 1989(3,000、73.7%、個別面接聴取法)
      ○内閣総理大臣官房広報室 国民生活に関する世論調査 1988(10,000、77.1%、個別面接聴取法)
      ○NHK放送文化研究所 「日本人の意識1988」調査 1988(5,400、71.4%、個別面接聴取法)
      ○東京都情報連絡室 都市生活に関する世論調査 1988(3,000、71.4%、個別面接聴取法)
      ○愛媛県 愛媛県政に関する世論調査 1989(1,200、70.9%、個別記入法)
      ○愛媛県 生活文化県民意識調査 1987(2,500、79.5%、留置法)
      ○NHK 全国県民意識調査 1978(1県当たり900、79.2%、個別面接法)

2 調査結果の要約
(1)地域に対するイメージや魅力について

 〇 言葉による地域のイメージは、全般的には『河川流域』と同じような傾向が見られ、他地域に比べて分散しているが、総
  合すると、「まあまあおだやかで自然豊かな所で、ほどほどに明るく美しい。」という、適度な好感を抱いている。さら
  に、市町村別の分析の結果、①「都市型の公園や自然景観が整備された便利な都市」、②「重厚長大型の臨海工業地帯の都
  市」、③「自然に恵まれているが、都心に比べてやや不便な都市近郊」と、それぞれの地域の特徴を反映した三つに大別で
  きる。
 〇 地域のイメージを色に例えると、「緑色」「青色」「水色」が多く、全体としては「水と緑に囲まれた自然豊かな地域」
  というイメージと一致しているが、他の地域と比べるとイメージの分散傾向が見られた。市町村間の差異も顕著で、川之江
  市や伊予三島市の「灰色」のように、他の市町村とは異なる色が上位を占めている所も見られ、臨海都市圈の多様性が表れ
  た結果となった。
 〇 住みよさと地域の魅力については、いずれも『河川流域』に次いで高く、県内の他地域に比べて「住みやすい。」「魅力
  がある。」という意識が高い。市町村別に比較した結果、朝倉村、波方町、土居町の3町村は両指数ともに高い値を示して
  おり、「たいへん魅力的で、とても住みよい」と感じていることがわかる。

(2)人々の気質と意識について

 〇 「臨海都市圏」の人々の気質について、『県民性に関する世論調査』(愛媛県、1989年)と同じ基準で「三予人気質」
  と比較した結果、全体としては中予人気質に最も近くなった。また、市町村別に比較すると、同じ東予地域の中でも、東予
  人気質の顕著な市町、中予人気質に近い市町、ほぼ南予人気質と言える町村など多様な気質が見られた。
 〇 県人意識は、他の4地域と比較すると、『河川流域』に次いで高いことがわかった。
 〇 個人の生き方・考え方については、市町村間の差が大きく、「臨海都市圏」全体としてはとらえにくい結果であった。

(3)くらし向きの変遷と日常生活に対する満足度について

 〇 「臨海都市圏」の人々のくらし向きに対する意識は、他の地域と比べると、10年前は最も「楽であった」、現在は『瀬
  戸内の島々』に次いで「楽である」と感じているのに対し、将来については『県境山間部』に次いで2番目に「苦しくな
  る」と感じており、これまではよい条件であったが、将来のくらしに対する不安は高いことを示している。
 〇 市町村別に比較してみると、本四架橋による西瀬戸自動車道の開通を控え「住みよさ指数」の高かった今治市や、「地域
  の魅力指数」の高かった朝倉村と波方町では、相対的に楽観的な結果となった。
 〇 満足度について他の4地域と比較してみると、「臨海都市圏」は、最高の『河川流域』と最低の『県境山間部』の中間に
  位置し、平均的な満足感であることがわかった。項目別で見ると、「家庭の人間関係」、「自然環境」、「住宅」などが
  高く、「収入」、「教育文化施設」、「交通」、「保健医療施設」の4項目が低くなっている。

(4)生活実態(購買圏)について

 〇 毎日の生活に欠かせない食料品は、「自分の住む市町村で購入(自給も含む)する。」の割合が70%を超え、「臨海都
  市圏」全体としては、これまでの4地域と同様の結果になった。しかし、市町村別に見てみると、ベッドタウンとしての性
  格を帯びつつある都市近郊の町では、食料品の購入も中核都市に依存している様子が見られた。
 〇 マイカーの普及に加えて、大規模なショッピングセンターの出店が相次ぐ地域では、商圏の広域化の影響を読み取ること
  ができた。さらに、川之江市や伊予三島市では、品目によっては県外で購入する割合が10%に迫っているものがあり、高
  速道路網の発達による、県域を超えた商圏の広域化の進行を物語っている。
 〇 化粧品の購入における通信販売のシェアが3市町で3位を占めるなど、消費活動の多様化を反映した結果も見られた。

回答者の属性

回答者の属性


明るさ指数(例)

明るさ指数(例)