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愛媛の祭り(平成11年度)

2 夏に払う

 旧暦の6月に多い夏の祭りは、災疫(さいえき)(災難や疫病)の除去を目的としたものが多い。田植えまでは無事に済んでも、気温が高くなり暑くなりだすと、農作物の病虫害や干ばつや激しい雷雨に見舞われたり、疫病が流行したりして、人々のくらしや生命を直接に脅かす出来事が多発しやすくなる。信仰深い昔の人は、そうした自然の災疫のもとは、もろもろの悪霊(あくりょう)、おん霊、疫神(えきじん)(*11)のせいと解釈するのが普通であった。そのために、夏にはもろもろの悪霊、おん霊、疫神を鎮める行事が多く行われてきた(①)。
 また夏は、農家にとっては、田植えという長く苦しい労働が終わってほっと一息つく時期でもある。人々は田休みと称して一日仕事を休んで慰労をし、五穀豊穣や家内安全を祈願してさまざまな行事を行ってきた。


*11:悪霊は、人にたたりをする霊魂。おん霊は、生きている人に災いを与える死者の霊。疫神は、疫病を流行らせる神。