データベース『えひめの記憶』
伊予市誌
一、俗信
結 婚
1 女は十九歳、男は二十五歳の婚礼をきらう。
2 結婚には、後家日、やもめ日がある。暦に出ていないので、避けるのに苦労する。
3 丙午、寅年の女は縁遠い。
4 寅の日の縁談は悪い。
5 四厄、十厄といって男女の相性で、これに当たる者は絶対に結婚しない。
6 方位
7 申の日には縁談事、相談事などをすべきでない。
8 三りんぼう・赤口・仏滅などの日を悪い日としてきらう。
9 三三九度の盃のとき、男子が盃をいただくと一生嫁に頭が上がらない。男子は礼をしない。
10 結婚暦といって旧暦の一月一日を寅月寅日、二月一日を卯月卯日、三月一日を辰月辰日、四月一日を巳月巳日、五月一日を午月午日、六月一日を未月未日、七月一日を申月申日、八月一日を酉月酉日、九月一日を戌月戌日、十月一日を亥月亥日、十一月一日を子月子日、十二月一日を丑月丑日とする暦があった。それをもとにして追うていき、子、巳、午、酉、亥に当たる日をきらう。
11 結婚式の賜り物や歓びの水引きは、真結びにしないと離別する。
12 結婚式の客には喜びの意味をこめて昆布茶を出す。
13 結婚式には、帰る・流れるなどの忌み言葉は使わない。
妊 娠
1 妊娠中にかまどを直すと、三つ□の子が生まれる。
2 妊婦が葬式の行列をみると、ほくろができる。
3 妊婦が火事を見て、手でほおをなでると、ほやけの子が生まれる。
4 卵の殻や、ふきの皮を踏むと難産する。
5 塩を粗末にすると難産する。
6 最初の出産に夫が居合わすと、次からは夫のいるときでないと生まれない。
7 庚申の夜に生まれた子は泥棒になる。生まれてすぐ鍋のつるを越させるとならない。
8 姉妹が同じ年にお産をする時は、同一の茶碗をおくる。
9 猫がいるところでお産をすると負傷するといわれ、お産の間は猫は実家につれて帰っておく。
葬 儀
1 葬式が出るとき茶碗を完全に割らないと後に不幸がくる。
2 葬式の帰りに他家に立ち寄ると、その家が汚れる。一度帰って塩払いしてから出直すこと。
3 友引の日に葬式をすると、つづいて葬式を出すようになるから夜中すぎてから出す。
4 死人のあった家は、その一年はねぎの苗をたつ。また犬猫などをけがえといって出す。はじめてごまを植えると燈ろうをつるといってきらう。
旅 行
1 月末の七、九の日の旅立ちは悪い。
2 その日のえとの方角へ行くと凶事がある。
3 寅の日の旅立ちは吉である。
4 出かけに前方をとかげに横切られると、凶だから出なおすこと。
5 北・東北・西南(鬼門返し)をきらう。
農事について
1 苗代の三宝塚を踏むと、まむしにかまれる。
2 苗代のあとにもち苗を植えぬ。四十九もちになる。その畦へ大豆を植えぬ。
3 巳の日にもち苗を植えぬこと。
4 田植えの終わった日をさのぼりといい、この日に蛸を食べる。たこのいぼほど籾粒がつくようにという意味で豊年を祈る。
その他
1 とかげの尾を切るとお金を拾う。
2 蛇を見て指で指すと指がくさる。
3 鬼所蛇の目といってきらう場所がある。この筋目に当たる場所は災難が多い。
4 犬神使い、蛇使いの家というのがある。
5 種痘をして約一週間たって堅く乾いたら、門口に紅白のしめ飾りをはって、ほうそうの神様をまつる。