データベース『えひめの記憶』
久万町誌
2 法定金融
明治二六年に、井部栄範が「久万山融通会社」を創立した。これが郡内、町内における初の本格的な金融機関である。明治三三年「久万銀行」と改めたが、経営のゆきづまりから明治三六年に解散された。
次いで、明治三七年、井部栄範は、山内岩雄と共に「株式会社久万銀行」を設立した。昭和一五年に松山五二銀行と合併し、「松山五二銀行久万支店」となった。更に、同一六年には予州今治商業銀行と合併して「伊予合同銀行久万支店」となった。
昭和二六年に伊予合同銀行は「伊予銀行」と改めた。したがって、「伊予銀行久万支店」となったわけである。
昭和二八年には、「松山信用金庫久万支店」と、「愛媛相互銀行久万支店」が誕生し、現在にいたっている。
農業協同組合や郵便局の金融業務の伸びも著しく、郡内、町内への経済的影響力も大きい。
ア 伊予銀行久万支店
昭和二六年に改称して以来、町内金融機関の中心的存在として業務を続けている。業務は次の三つに大別される。
①預金業務
当座預金・普通預金・通知預金・納税準備預金・定期預金・期日指定預金等、将来に備え、豊かな暮らしのための財産づくりのための手助けをしている。
②融資業務
割引手形・手形貸付・証書貸付・当座貸越など、資金を預金として集め、これを資金の需要先に供給する仲介者としての役割を果たしている。
③為替業務
送金・取立てなど、現金の持ち運びや送金などによって生じる手数や危険を省いたり防止したりする業務を行っている。
④代理店業務
日本長期信用銀行・日本債券信用銀行・中小企業金融公庫等の代理貸付業務を行っている。
預金高と貸付高は次表のとおりである。
イ 愛媛信用金庫久万支店
会員組織による非営利金融機関で、大口貸出しを禁止し、営業地域を本店所在地の周辺までと限定している。最大の特色は、預金を一定地域内の一般大衆から受け入れてもさしつかえないが、貸付けを出資者である会員に限定していることである。
昭和二六年の信用金庫法によって運営されているのが愛媛信用金庫久万支店である。
ウ 愛媛銀行久万支店
昭和二六年の相互銀行法によって、従前の無尽会社が転身したものであり、中小企業を専門とする金融機関である。大衆が相互に資金を出し合い、活用し合うところから名前がつけられたものである。
特色は、無尽形態である相互掛け金の制度をもつことで、加入者は、一定期間の毎月の掛け金をみかえりに、給付金の形で融資を受けることができる。
昭和六三年より、普通銀行に移行した。
エ 久万町農業協同組合
農協業務の中に、金融課が位置づけられている。貯金・預金・貸付・借入金・為替業務が行われている。各支所(明神・久万・父二峰・畑野川・直瀬・面河・美川・御三戸・柳谷)ごとに地元利用者のための窓口業務が行われており、手軽な金融機関として幅広く利用されている。
昭和四八年合併後の貯金高と貸付高である。
オ 久万郵便局
明治一三年以前は郵便物のみを扱かっていたが、為替事務の取り扱いを開始して以後、金融事務を行っている。久万町内の郵便集配業務は昭和六三年から統一されたが、金融業務は、各郵便局(久万・父二峰・畑野川・直瀬)で行われている。
伊予銀行久万支店 預金高及び貸出高 |
愛媛信用金庫久万支店 預金高及び貸付高 |
愛媛銀行久万支店 預金高及び貸付高 |
久万農協本店 貯金高及び貸付高 |
各支所金融業務機構 |
郵便貯金取扱高 |
簡易保険契約受持高 |
簡易保険、郵便年金、積立金、久万町への融資状況 |